女性のセミリタイア本【書評】『魂の退社 会社を辞めるということ。』稲垣えみ子著

セミリタイアに関する本
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こんにちは。ゆるセミ(@yuru_semi)です。

ゆるく目指すセミリタイア生活を略して、ゆるセミです。

今回は、本のご紹介をしたいと思います。

ご紹介するのは、稲垣えみ子著『魂の退社』です。

こちらの著書は、稲垣えみ子さんが会社を辞めるに至った心境の変化や経験談などを書き綴った本となっています。

女性でセミリタイアをされている方というのが、あまり見かけないので興味があって読んでみました。

「会社で働くこと」について考える本ですので、「会社を辞めたい」とか「このまま会社にいていいのか?」など悩んでいる方はぜひ読まれてみることをオススメします。

 

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著者の紹介

まずは、著者の紹介からしたいと思います。

稲垣えみ子さんは朝日新聞社に入社され、コラムなどを書かれていました。

当時はコラムが人気となり、著者がアフロヘアだったこともあり、インパクトが大きく、テレビなどのメディア露出が多かったようです。

実際にテレビなどで見たことある方もいるのではないでしょうか?

そのコラムを1年書いた後、50歳にて会社を辞められ、セミリタイア生活となったわけです。

そして、この本は2016年1月に退社し、5か月後の6月に発行されました。

この本に書かれていることは、会社を辞めたときの著者の心境などがそのまま記載されています。

 

始めは老後の生活の不安から始まった。

著者は、最初から会社を辞めるつもりではありませんでした。

朝日新聞社に勤めていた著者は、それなりの給料をもらっていたらしく、給料はあるだけ使うような生活スタイルでした。

  • 毎月のように洋服を買う。
  • 化粧品は高いモノを使う。
  • エステに通う。
  • 仕事終わりの外食で頻繁に美味しものを食べに行く

このような生活スタイルを著者は「金満ライフ」と呼んでます。

この「金満ライフ」を、人生の折り返し地点(40歳)を目前にして、マズイと考えました。

それは、老後は収入が減っていき、年金生活になるため、今の生活を維持できないと考えたようです。

では、どうするのか?

著者は、お金が無くてもハッピーなライフスタイルを確立し、老後に入る前から実行していかなくてはいけないと思い始めました。

 

地方への転勤

さて、お金が無くてもハッピーなライフスタイルを確立しようと考えていても、日々何もできないままで過ごしていた著者に転機が訪れました。

転勤です。

東京に住んでいた著者は、四国の高松へ転勤することになりました。

高松では、東京と同じように楽しむところがありませんでした。

だからこそ、都会とは違う楽しみ方を模索し始めました。

そして、見つけた楽しみが、「野菜の直売所に行くこと」と「山歩き」。

 

野菜の直売所では、季節の野菜が並びます。

スーパーと同じように年中色々な野菜が買えるわけではありません。

しかし、逆にそれこそが豊かなのではないかと著者は考えます。

「ない」ことの方が「ある」ことよりむしろ豊かだと思うわけです。

 

山歩きでは、1人で山を歩く苦労と引き換えに素晴らしい景色の数々を見ることができました。

春先に見た一面の桃の花。

吹雪の中で響き渡るお寺の鐘の音。

ここで著者は、お金が無くてもこれだけの素晴らしい驚きや感動を味合えることができるんだと考えるようになります。

 

そんな中、お遍路さんの笑顔に出会いました。

それは、著者が今まで出会ったことない「澄み切った笑顔」だったと書いてあります。

そして、その笑顔はもともと人々が持っていた笑顔で、お遍路の道中で欲望や思惑、恨みといったモノを捨て去ったからこそ表に出てくることができた笑顔なのではないか。

そうであれば、何かを得ることが幸せではなく、何かを捨てることこそが本当の幸せへの道かもしれないと考えるわけです。

 

そんな体験を通して幸せとは、お金ではないのかもという考えを持っていたときに、友人との会話で「会社を辞める」というワードが出てきて、「会社を辞める」ことを意識するようになります。

 

会社を辞めるまで

「会社を辞める」と言っても、生活もあるためすぐにやめるわけにはいきません。

著者は、50歳までは会社で頑張ろうと決意します。

そして、それまでは計画を立てたり、準備をしようと。

この時には、以前の「金満ライフ」を送るようなことはなくなり、「給料>使うお金」のような状況になっていたそうです。

この「給料>使うお金」といった状態になり、著者は会社の評価を気にしなくなります。

多くの方が会社からお給料をもらうために、会社の評価を気にしていると思います。

会社の評価が下がれば、リストラ候補になったり、行きたくもない部署に配属されたりして、給料にも影響が出たりするからです。

しかし、著者は使うお金が減ったため、給料をあまり気にしなくなったそうです。

それは、すなわち会社の評価も気にしなくなったということ。

著者は、そのため自分の思いで頼まれていない仕事をやり始めるようになります。

会社からの評価を気にしてやらなかったことでも、やるようになったのです。

それが、最終的には会社にとっていい方向へと転がっていきました。

著者はこれにより今まで雇ってくれた会社への恩を返すということをしました。

 

また、辞める前に東日本大震災が起こりました。

これにより原発は停止し、節電を余儀なくされた著者。

原発の問題を過去に取材しながらも、その危険性について黙認していた自分への責任感からか電気をほとんど使わない生活へとシフトしていきます。

その結果、掃除機・洗濯機・冷蔵庫などといったものを捨て、捨てることによって自分自身がどんどん自由になっていくのを感じたと言います。

そして、自分をお金というもので縛っている会社も辞めようと最後の決意をするのです。

節電からの会社を辞めるまでの流れは、著者の別冊の『寂しい生活』に詳しく書かれていますので、そちらを読んでみてください。

 

『魂の退社 仕事を辞めるということ。』の感想

この本を読めばわかると思いますが、著者は様々な感情や思いがありながらも、退社という決断をしたのだなと思います。

そして、仕事を辞めるということは、その人の人生にとって大変なことなのだなというのがこの本を読んでの感想です。

仕事を辞めるということを通じてのドラマ。

この本は、そんな位置付けなのかなと思います。

つまり、退職ドキュメンタリーみたいなものですね。

退職に至るまでの経緯や心境の変化が細かく書いてあって、仕事について悩んでいる方なども参考になるのではと思います。

 

また、セミリタイアというと会社がクソだから辞めようみたいな論調が多い気がしますが、今回のように会社に感謝しながらも辞めるというのはレアケースのような感じがしますね。

会社という組織に属することができたから、社会人として成長できた部分は間違いなくある。

ただ、今後の人生を考えたときに、会社で働くことだけが人生ではないという決断を下しただけというスタンスです。

 

思えば、著者は最初に老後の不安からお金を使わずにハッピーなライフスタイルを確立しようとしていたわけです。

そこから、紆余曲折ありながらも、下した結論が会社を辞めるということ。

「お金」よりも「時間」や「自由」が欲しくなったからとしています。

 

僕自身も「お金」よりも「自由」や「時間」が欲しいという部分は著者と同じです。

これからもセミリタイアに向けて、邁進していきたい所存です(笑)

セミリタイア生活を目指して、一緒に頑張りましょう。

 

最後にこの本の好きな言葉を引用して終わります。

会社は修行の場であって、依存の場じゃない。(中略)そして修行を終えた時、あなたはいつでも会社を辞めることができます。結果的に会社を辞めても、辞めなくても、それはどちらでもいい。ただ、「いつかは会社を卒業していける自分を作り上げる」こと。それはすごく大事なんじゃないか。

 

 

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